トップページ | 気まぐれログ(シトロエンC4の巻) »

2005年6月12日 (日)

気まぐれログ(日産セレナの巻)

 今回のクルマは日産のセレナです。

 トヨタのノア・ヴォクシー、ホンダのステップワゴンに続いて、日産セレナがフルモデルチェンジしました。
 この、国産5ナンバーミニバンにおける三つ巴のシェア獲得競争が相当熾烈なものになることは想像に難くありません。
 先の2台は既にこのコラムでも取り上げており、そちらも併せて読んで頂ければ、より理解が深まると思います。
 大雑把に捉えるなら、正統派のトヨタ・日産、異端派のホンダといったところでしょうか・・・・、検証していくことにしましょう。

 まずは外観から。
 先代は地味ながら、玄人受けのするスタイリングでしたが、今回もその路線をついてきたと思います。
 個人的に見逃せないのは、近年どのメーカーもワンパターンで採用していた、つり目のヘッドランプをあえて使わず、フラットでスクエアな形状に戻したという点です。デザイン的には別にどうということのないものですが、これだけでクルマの印象は、ずいぶん穏やかなものになります。妙に凶暴な顔つきの車が増える中、これは歓迎です。
 その他のエクステリアデザインも、1BOXミニバンとしての実用性を重視したもので、破綻なくまとまっています。このへんが、先に異端派と書いたホンダと日産の大きく違うところでしょう。
 ただ、最近、デザイン面で妙に守りに入っている感がある日産には、あえて苦言を呈したいと思います。
「マーチ・キューブで見せた、あのアバンギャルドさは、いったいどこへいってしまったのか?」と。
 各部の造り・建て付け等は最新のクルマらしく、しっかりしていました。

 次にインテリアです。
 印象としては、先に発売されたラフェスタと共通性が高いものと言えます。スポーツ系がブラック、ラグジュアリー系がアイボリーというお決まりのカラーリングですが、適度にモダンなテイストで、これまた破綻なくまとまっています。
 インパネ周りもステップワゴンのような斬新さこそないものの、これで実用上困るということはまったくありません。良く言えば「親しみやすい」という類のものでしょうか。
 そして、ミニバン最大の見せ所である3列シートの出来栄えですが、これが意外な収穫でした。2列目3列目はステップワゴンと大して変わらないものの、1列目すなわち運転席・助手席の出来が図抜けて良かったのです。
 従来この手の1BOXスタイルのクルマはキャブオーバー型といって、1列目シートの下にエンジンルームがあったため、座面クッションを薄くせざるを得なかったのですが、エンジンがフロントに移り、座面下が空いた現在でも、どういうわけか、この悪しき伝統を守り続けているクルマばかりだったのです。
 このことは、以前から当コラムで指摘し続けてきたのですが、セレナはやっとその「悪しき伝統」から脱却したのです。それどころか、この1列目シートの座り心地は最近乗ったクルマの中でも1,2を争うほど良いものであると断言できます。
 当たりが柔らかく、じわっと沈み込みながら体全体をやさしく支えるその感触は、往年のフランス車を髣髴させるもので、まさに逸品といえるレベルに達しています。ルノーとの提携が今頃になって成果を挙げてきたのでしょうか?・・・・、いずれにせよ喜ばしいことです。
 また、各シートと移動式センターアームレストのスライド部分の動作がスムーズなのにも感心しました。これは欧州車に見られるスムーズベアリングの採用が大きいと思われ、ここでもルノーとのプラットフォーム共用の成果が現れています。それも手伝って、シートアレンジそのものも充分実用的で満足いくものとなっています。
 ただ1点、ステップワゴン同様、3列目シートが横跳ね上げ式で取り外し不可能なのには不満が残りますが・・・・。
 さらにラゲッジルームは床面こそステップワゴンに比べて高いものの、広さ・使い勝手において劣るところはなく、フル乗車時に床下収納が使えるというメリットもあります。

 試乗しました。
 U-LEV、可変バルブタイミング機構付2リッター4気筒DOHCエンジンにCVTを組み合わせた20Gというグレードの2WDモデルです。
 乗り込んでみると、例によってボンネットこそ見えないのですが、あらためてこのクルマの見晴らしの良さに感心します。ガラス面が前後左右に広い上に、フロントドア前方にかけてさらに一段低くなっているため、まさにパノラマといえる眺めで、これはライバル車にはない魅力です。
 走り出すと同じパワートレインを持つラフェスタと同様の、「カーン」というアルミエンジン独特の音が耳につきます。決してトータルパフォーマンスの悪いエンジンでないだけに、これは残念な点で、早期の改良を望みます。
 加速性能・パワーフィーリングに関しては、CVTで多少はカバーするものの、やはり必要最小限と言わざるを得ません。フル乗車時には、かったるい思いをするでしょう。この点に関してはトヨタのノア・ヴォクシーが若干リードしているかもしれません。
 ただし、乗り心地においては、先にも書いた優れたシートとの合せ技で、他の追従を許さないものをこのセレナは提供します。ホンダのように背の高さを否定的に捕らえるのではなく、あえて肯定的に捕らえて、ミニバンらしいゆったり快適でしなやかな乗り心地を、ロールを抑えながら実現しているのは見事と言うほかありません。
 その他ブレーキ性能、左右の見切りのよさ、小回り性能などは問題ありませんでした。電動パワステの採用も大柄なボディーには効果絶大です。

 総評です。
 このセレナというクルマ。先代に引き続き、地味ながらなかなかいいクルマだなあ、というのが実感です。トータルの安定度ではノア・ヴォクシーと甲乙つけ難いものがあり、どちらを選んでも間違いではないでしょう。
 ただし、セレナにはルノー譲りの乗り心地という大きな武器があります。これは「和製エスパス」であり、このパノラミックな前方視界と懐の深い乗り心地をカップルで味わえば「和製アヴァンタイム」にもなるのです。(あくまでもデザインを無視しての話ですが・・・・)
 ゲルマン志向の日本車は枚挙に暇がないほど存在しますが、フレンチ志向の日本車というのは皆無に等しい状況です。そんな中で、セレナのような出来のよい日産車は、クルマに安らぎや穏やかさ、しなやかな乗り味といったものを求めるユーザーには最適のチョイスだと私は思います。
 また、ユーザーに媚びて、ミニバンをスポーツカーにしようとしたホンダは、今回のステップワゴンで手痛いしっぺ返しを食らうような気がしてなりません。
 やはり、ミニバンにはミニバンなりの進むべき道があるのではないでしょうか。今回は、そんな王道を選択したトヨタと日産を私は支持したいということを書いて、終わりにしようと思います。

|

トップページ | 気まぐれログ(シトロエンC4の巻) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/114916/4519768

この記事へのトラックバック一覧です: 気まぐれログ(日産セレナの巻):

» 日産の取締役報酬、1人平均2億6千万円 [地球圏の日常]
 自動車各社の04年度の取締役報酬の総額が、株主総会の招集通知などで明らかになった。日産自動車の1人あたり平均は前年度より4割以上増えて約2億6000万円。プロ野球・西武の松坂大輔投手の年俸(推定2億5000万円)を上回った。日産の2倍以上の連結当期利益を稼いだトヨタ自動車は約3500万円。日産は業績と連動させる欧米流の報酬体系で業界トップを独走している。(asahi.com) おいおい、貰い過ぎじゃないの�... [続きを読む]

受信: 2005年6月12日 (日) 16時58分

トップページ | 気まぐれログ(シトロエンC4の巻) »